(『サンパウロ新聞』 1998年1月21日付 連載「ブエノスアイレス異聞」(中))

サンパウロ対ブエノス 南米のチャンピオン馬

 ジムワキ、クワリブラーボ、スレイマン。昨年の12月13日、サンパウロの一流競走馬3頭が、この日のために遠路はるばるアルゼンチンまでやって来た。ブエノスアイレス市近郊の町サン・イシドロ市にある、サン・イシドロ競馬場。ここで開かれたのは、南米のチャンピオン・ホースを決める年一回の国際招待レース「カルロス・ペレグリーニ国際大賞」(GT、芝2400b、3歳以上)。1着賞金は20万ドル。各陣営、おのずと力がこもる。

 出走馬は13頭。この国際レース、例年ならチリやペルーなどからも出走登録があるが、今回は外国からの遠征がサンパウロの3頭のみとなり、「サンパウロ勢」対「ブエノス勢」の様相となった。

 この日、競馬場に詰めかけた観客は4万5千人を超え、スタンドには立ち見が出るほど。特に一般席に、普段着姿の人の入りが多い。欧州的な文化を色濃く残す同国では、昔ほどではないにしても、まだまだ競馬は注目を集めているようだ。

 さて、サンパウロの精鋭3頭を紹介しよう。ジムワキ号はサンパウロとリオで10戦7勝、黒鹿毛の4歳牡馬。重賞レース3連勝中の余勢を駆って初挑戦となったが、この日はいつもの堂々とした「風格」が見られず、出走馬中最もイラつきが目立つ。クワリブラーボ号は7戦6勝2着1回、芦毛の3歳牡馬。1600bのレースをレコードタイムで勝った快速馬である。サンパウロ以外では初めての競馬となったこの日も、全体としては若さに似合わずまずまずの大人びた落ち着きを見せている。スレイマン号は13戦4勝、鹿毛の4歳牡馬。マイペースで逃げるとしぶとい。いつものようにとぼけた表情でリラックスしているようだが、ひょっとしたら隣の馬房にいた唯一頭のアルゼンチン娘、シーガール号に見とれていたのかも知れない。

 この日のコースは前日までの雨がたたって、馬場状態は重だった。歓声の中、レースは午後7時過ぎにスタート。一瞬出遅れたのはジムワキ号。スレイマン号は単騎での逃げができず苦しい展開となった。最も健闘したのはクワリブラーボ号で、直線に入り馬群の中段から懸命に脚を伸ばしたが、惜しくも2着に終わった。勝ったのは地元の3歳牡馬チュージョ号。それまでの戦績は6戦5勝で、当日は単勝2・0倍の1番人気に推されていた。なおジムワキ号は5着、スレイマン号は12着だった。

 翌日、ブエノスの日系人と話をした時「サンパウロの馬に賭けたんですが、だめでした」と報告すると、「やっぱり、アルゼンチンの馬のほうが強かったか」と笑顔で言われた。その時、やや目減りした財布の中身を気にしながら、ちょっぴり悔しい思いがした。

小生は昔、こんなものを雑誌と日本語新聞に載せちゃいました
▽ ブラジル、南米競馬関係 ▽ 第1回「日本杯」レース ▽ 第3回「日本杯」レース ▽ 「長良川花火大会」
 記念レース
▽ 第4回「日本杯」レース
1997.5.20 1995.11.22 1997.6.27 1998.5.30 1998.8.13
1998.1.21 .11.24 .8.13 .6. 2 .8.18
.3.18 .11.25 .8.15
.8. 5 .11.28 .8.16
.12.21 .8.19